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第1章 こころの臨床の基本―共感と受容

○共感とは。受容とは。

 臨床家にとってClのこころに共感し、受容することは、不可欠であり、協働をするものとして成立するための基本条件。

 

 ・ただ黙って話を聴くこと?

 たしかにスタートとしては、そこから始めてもいいかもしれない。できるだけ黙って口を挟まず、相手の語ることにひたすら耳を傾け、語られる内容と思いに同意する。

 しかし、それだけでは通じない例もある。

 ex)患者の話が途切れなかったり、極端な見解や異常を持っている場合は、Th側に相当な負担がかかることも。アドバイスがほしいと憤慨する患者も。

 

 ・憤慨する患者

 これまで傾聴を通してきた患者に伝えた退院宣告。

患者は憤慨し、怒りをThにぶつけるも、Thはそれさえも黙って聴いていた。

「一方的な思い込みや誤解を指摘することは、反ー共感的になってしまうのではないか」

―傾聴とは、受容とは、共感とは大変なものだ。

 

 ・まる飲みしていることへの気づき

 患者の言葉をただ丸呑みにすることはThに大きな負担がある。

 つながりを持とうとしない、つながりを拒絶する患者との間には、傾聴だけでは共感と受容は成り立たない。

 

 ・聴くことのむずかしさ

 聴いているだけでは、Clが主訴となる話題に展開しない(はぐらかし続ける場合)にはいつまでも情報が入ってこない。(結果的に焦り、警察の尋問みたいになってしまう可能性も)

 一生懸命聴くとは?

 「共感と受容は大変重要。共感と受容に関する項目は、Clに向けた質問リストに載っているので、そのリストに則って順次訊くとクリアできる」

 質問リストを読んで尋ねることと、私たちが傾聴しつつこころに触れながら発する問いとは、まったく異なるものである。

 

 ・ケース例

 真摯に傾聴していたら、突然性愛的になったり、妄想が生じたり。

⇒真摯に聞いてくれるThに対し、Clがそこに興味を持っているのか知りたくなって、ヒステリカルな方法で侵襲してきた例。

 強力なフィーリングを感じ、退行を起こしており、聴き方が真摯でも、その聴き方からは何も理解が生まれなかった例。