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◯学習

◯学習とは

「様々な経験によって行動に比較的永続的な変化が生じること」

・連合説(行動主義的学習理論)

 古典的条件付け(S-R)、オペラント条件付け(強化、報酬)

・認知説

 洞察学習、試行錯誤学習

 

・コンピテンス(2種の意味)

環境と効果的に相互干渉する潜在的能力:有能さ

環境に能動的に働きかけて、自らの有能さを追求する動機づけ

=実現されつつある能力や実現しようとする動機づけを表す用語

たとえば、自分の働きかけが環境を変化させることを理解出来る機会を増やしたり、正のフィードバックを与えるシステムは、コンピテンスを増加させる。

⇔学習性無力感(セリグマン)

逃げられない環境下でのストレスの永続的負荷は、いずれ抵抗すら失わせる。

◯認知

・認知発達

これまでの心の科学。

・意識こそ心なり:ヴント

・行動こそ心なり:スキナー・パブロフ

・無意識こそ:フロイト

・認知:チョムスキー生成文法理論・ピアジェの発生的認識論(認知発達論)

認知の発達に重要なことは、表象の形成。目の前にあるものだけでなく、脳の中で再現される情報によって行動が成立すれば、それは表象を用いていると。知覚表象が言葉等の記号に置き換え、脳の中で操作される時、認知が高度に発達したといえる。認知とは環境についての情報を得て、環境(物理的環境・社会的環境)に働きかけることであり、他者に対して因果的に働きかけるために必要な社会的認知も認知の対象である。

 

・認知の処理

トップダウン処理:これまでの知識や経験、期待などをもとに外部の情報を処理していく処理方法。(暗闇の森で動くものはヘビだと思った)

ボトムアップ処理:明確な刺激・情報を低次(パーツ認識)から高次(統合)レベルに進んでいき、最終的な情報処理に至る方法。

=私たちの認知は、この2つの処理が同時に行われていると考えている。それが優先か濃度の話である。

 

メタ認知

私たちの認知(知覚、記憶、学習、思考)の様々な過程に関する知識や信念のこと。

例えば、私は忘れっぽい、私は知らない、思い込み、言い間違いの修正、感情に対する認知(今はきっとうまくいかない)

・モニタリング:目標達成のために、ムダな行動を制御しようとする側面。目標までの道筋に適切かどうかをチェックし、計画や活動の修正を行う。

 

メタ認知の発達

基本的に5.6歳頃から機能している。ごっこ遊びなどで、適宜ルールを変更したり、言い間違えて自分で修正出来たり。

記憶をうまく行うには記憶すべき対象や自分の記憶状態に応じた方略を用いる、モニタリングの必要がある。その方略や記憶の発達には、メタ認知の発達が欠かせない。

 

・認知スタイル

何をするか、どのくらいするのかではなく、どのようにするかが認知スタイル。

認知スタイルには、いくつかの型がある。

・場依存型ー場独立型(ウィトキン)

場依存:自分の見える手がかりだけに影響されやすい人ー他者の意見に影響されやすい

場独立:自分の身体感覚に従って判断出来る人ー影響されにくい

・熟慮型ー衝動型

熟慮型:課題は遅いが正確性がある。発達度が高い

衝動型:課題は早いが正確性がない。幼い

=認知スタイルは、社会や文化の価値の置き方でも変わる。

 

 

◯知能

・知能について

ビネー:ビネー=シモン知能測定尺度がはじまり。

知能指数IQ=精神年齢(MA)÷生活年齢(CA)×100

※知能は人間の能力の一部であり、それが全てではない。IQの指標としての意味はあるが、それを課題評価したり、その人の人生の予測や決定因として扱うべきでもない。環境の変化によって変動はするし、知能検査の種類によって誤差もある。

 

結晶性知能と流動性知能(キャッテル)

結晶性知能:これまでの経験によって蓄積された知識を反映するもの

流動性知能:神経生理学的な要因に影響を受けて形成される知能で、新規場面や情報の処理速度や能力に関連する。一般的に年齢とともに落ちるが、個人差もある。

 

◯発達2

・発達の最近接領域(ヴィゴツキー)

同じ年齢群でも、課題の遂行率が異なる場合がある。

知的発達の2つの水準:自力で解決出来る水準+他者からの援助や共同によって達成が可能な水準=両者のずれの範囲を発達の最近接領域という

 

エリクソンの心理ー社会発達8段階

社会からの要求と、自己の適応という心理学観点から発達課題を考える。

発達課題=社会から生涯に渡って投げかけられる要求のこと。

乳児期~基本的信頼vs不信

幼児期前期:自律vs恥・疑惑

幼児期後期:自主性vs罪悪感

学童期:勤勉性vs劣等感

思春期:同一性vs同一性拡散

成人期:親密vs孤立

壮年期:世代性vs自己陶酔

老年期:統合vs絶望

◯発達とは

・発達とは

遺伝と環境の双方が影響。良好な環境は発達を支える。

発達は一般的に年齢との関数である。

 

有名な発達段階説。

発達段階の区別の仕方

1.機能の行動変化(発話、描画)などを指標にして段階設定をする

2.機能の関連を心的働きに結びつけて構造を想定する

ピアジェ(認知発達論)、フロイト(心理-性的発達段階説)、エリクソン(心理社会発達段階説)

分化共通ではなく、具体的な活動に参加するなかで獲得される諸能力は異なる。

 

・スイスのピアジェ認知発達論

シェマ:認知の枠組み(同化や調節を行う)

同化:外界の情報を理解すること

調節:既存のシェマから適応的なシェマに変えていくこと。

均衡化:同化・調節を行いながら安定した発達をさせる過程

操作:行為がに内在化されたもの(学習)

 

感覚運動期:0~2歳。新生児反射などの知覚と行為の間に言語が介在しない状態

0-1ヶ月:第1段階:反射。吸啜反射、指しゃぶりなどの習慣的行為の獲得。

1-3ヶ月:第2段階:第一次循環反応

3-8ヶ月:第3段階:第二次循環反応。手で物を叩くなど、偶発的対象操作。

8-12ヶ月:第4段階。:目的に応じた手段の行使。物をどかすなど。この時に隠された物が存在し続けるといった対象の永続性が起こる。

12-18ヶ月:第5段階:第三次循環反応。この時に、物を元の場所から移動させると、移動先を探せるようになる。

18-24ヶ月:新しい解決手段を洞察的に発見。この時に、元から見えなくても対象物を探そうと動く。

 

前操作期(2-7歳)

ごっこ遊びやままごとなど、目の前にないものを別のもので表せる象徴機能

文字の組み合わせ(ね・こ)から、象徴を想像出来る。

実際に行われる行為から、計算などが出来る。

直感的思考:同じ重さの粘土を違う形で呈示すると、見た目が長い、広い方が重く感じるようになる

自己中心性:自分の視点(中心化)から事象(長い、広いなど)を判断する。

 

具体的操作期(7-11歳)

具体的操作とは、対象に基づいた論理的思考のこと

保存の概念:長さ・広さにとらわれることなく、関係を可逆的に捉えられる。

第1段階(7,8歳):数の保存、系列化、クラス化

第2段階(9,10歳):類似、2時限の推理、空間的把握

 

形式的操作期(11歳~)

思考の内容と形式(現実)を区別して、内容に依存せずに形式に従って行われる論理的思考。

仮説演繹的思考が可能(色を混ぜた時の予想など)

具体的な対象から離れても、対象間の関係について計算・比較ができる。

命題論理:濃いー明るいなど、「対」の概念が生まれる

比例概念:天秤の釣り合い調節といった、量的な変化を推察できる。

 

言語理解

さて、本回からは各下位検査について考察を行っていく。

まず前提として、同じ群指数間でも検査が複数あるのには理由がある。

それは雑派にいえば測定されている面が違うからである。

 

例えば、言語理解における下位検査は、単語・類似・知識である。

単語はこれまで学校生活等で得てきた学習経験による影響が強い。単純で辞書的な単語の知識量。回答に必要なのは、世間一般的にも周知されているような、短く、決まりきったものである。故に、言葉の意味を知ってさえ入れば、さほど考えるのも表現するのも難しいものではない。ただ、単語は検査の中で2番目に行う、比較的早い段階で出題される。そのため、まだ検査に対する緊張や不安感がある場合、思い出せそうで思い出せない事態が発生するかもしれない。本人の緊張度等は検査中の態度で見ることが出来るだろう。

 

類似は単語の知識に加えて、抽象度が上がる。というのも、単語と単語の意味を知りつつ、どこが似ているのかを答えることは、辞書にない自分の言葉で、類似する点をまとめて表現する力が求められているからだ。故に、呈示された単語のイメージや理解が十分で、短文でも集約する力があればさほど難しいものではない。ASD圏では、言葉がまとまらずに、言葉を並べたり、集約が出来なかったりする。大切なのは、カテゴリー化して上位概念にまとめ、それを端的に相手に伝える力があるかどうかである。

 

知識もまた、学校教育で学ぶ問題が多い。ただ、知識の場合には問題は視覚提示されずに、聴覚より入力される。そのため、問題文を保持しながら思考する、下位のWMに近いところもあるかもしれない。というのも、問題文は比較的短いものが多く、問題に耳を傾け、ある程度一般的生活上で必要な知識が蓄えられていれば問題ない。強いて言えば、単語が辞書的な知識であれば、知識は一般教養、つまり、日常生活で蔓延るような内容として考えてもいいだろう。そのため、学習機会に乏しくても、メディア等で日常的に触れる機会があって、興味関心の幅が広く、そこから習得していれば、単語<知識と成り得る。符号の偶発学習にも関連してくるだろう。

 

最後に理解。これはVCの範疇ではないが、かなり関連があると考えて良い。

これは、日常生活を送る上で必要な社会規範やルール等が含まれる。何よりこの課題の大きな特徴としては、中程度の文章量から出題された問題に、まったく手がかりのないまま「文章」で答えるところがミソである。つまり、文章を聴覚入力して保持しつつ、既知の単語や知識を統合して、表現するところまでが求められている。他の下位検査に比べて、かなり自由度や抽象度が高い。そのため、社会参加の頻度や社会への興味など、これまでの体験の量や質が影響されるといって良い。

 

ここまで見てきたが、同じVCの検査でも差異があることが理解出来る。ポイントは以下の通り。

1.奥に行く検査ほど自由度が上がっている

2.伴って言語理解・統合して表現する力が求められている

3.視覚呈示と聴覚呈示がある

4.それぞれの検査で重なる部分(純粋な知識量・社会経験の幅)がある

 

大切なのは、どこが高くて、どこが低いのか。そこから導き出される根拠は何か。

何より、仮説を支持するだけの背景、Cl.の臨床像をよく興味を持って把握することだ。

知能検査について

今回から、ウェクスラー式知能検査についてまとめてみる。

というのも、実際の現場でなかなか思うように所見が捗らない。

それは僕が下位検査や群指数、包含して知能検査自体の理解が乏しいからにすぎない。故に、改めて所見を書く上で大切なことを考えていきたい。

 

ウェクスラー式知能検査は大きく分けて言語性尺度と動作性尺度に分かれる。

言語性尺度:VC+WM

動作性尺度:PO+PS

そして、下位検査となるものは・・・

VC:単語・類似・知識(・理解)

WM:算数・数唱・語音

PO:(配列・)完成・積木・行列

PS:符号・記号(・組合)

 

これら下位検査の素点を、年齢群に合わせた標準得点に換算して、そこからIQを算出していく。複数の被験者の間で、同じ数値だからといって同じ知能・Personalityではない。その人の生育歴、受検態度、年齢、環境によって、背景が違う。

そのため、単に知能検査といえど、数値とにらめっこするだけでは測定された知能の根拠には乏しいので、背景から言える可能性や仮説を交えて所見に記すこと。

 

そこには、認知発達理論や社会発達理論、愛着理論等の関連する理論を交えて根拠としていきたいものである。

臨床家なら最低限、このような心構えを持ちながら、検討するべきである。